ご挨拶

ご挨拶

特定非営利活動法人 日本オゾン協会 増子敦会長

特定非営利活動法人日本オゾン協会
会長 (工学博士) 増子  敦

日本オゾン協会は、1983年に故石橋多聞会長のもとに国際オゾン協会日本支部としてスタートし、1991年に宗宮功会長のもとに日本オゾン協会として設立されました。その後、津野洋会長、故藤原正弘会長、眞柄泰基前会長のもと、 協会の活動が活発に進められてきました。 このたび私が会長を引き継ぐことになり、 皆様のご協力を得て、オゾンのさらなる普及とオゾン技術の向上を図り、 安全で快適な生活環境づくりに貢献したいと考えています。

オゾンは強力な酸化力を持ち、ウイルスや細菌の不活化、有機物の分解、消毒、脱臭、脱色などに優れているため、様々な分野で使われています。 水道の高度浄水処理、下水の再利用、工場の排水処理や排水再利用、プール・水族館・風呂の水浄化、 食品工場やスーパーマーケットでの消毒、医療、農業分野、水産養殖、ホテルの脱臭など用途が広がってきています。

中でも規模が大きいのが水道の高度浄水処理です。 私は東京都水道局においてオゾンと活性炭を利用した高度浄水処理の計画、設計、維持管理に長年携わり、オゾンの絶大な威力を肌で感じてきました。以前は東京の水道水はかび臭くてまずくて評判が悪かったのですが、高度浄水処理を導入してからは 水質は劇的に良くなりました。蛇口から汲んだ水道水と市販のボトル水を、どちらが水道水と言わずに20万人の人に飲み比べてもらいましたが、水道水の方がおいしいと答えた人が半分います。 高度浄水処理の導入費用は、建設費と維持管理費合わせて1 立方メートル当たり約10円です。 水道水は1立方メートル当たりおよそ200円ですから、そのコストは約5%に当たります。 これで水道水の安全性とおいしさが格段に向上し、炊事、洗面、シャワーでも快適に使えるわけですし、 ボトル水の購入や浄水器のカートリッジ交換から解放される人も多くなるので、そのコストは決して高くないと思います。

オゾンを利用した高度浄水処理はこれまで首都圏や関西圏を中心に普及してきましたが、導入の必要な地域はまだまだあります。 また、水の停滞のない清らかな流れの河川においてさえ、河床に藍藻類が繁殖してカビ臭が出ています。オゾンの早期導入が期待されます。

水道以外においても、様々な分野で、これまでの塩素処理ではなく、もっと強力でありながら、品質や環境への影響が少ないオゾン処理を採用しています。

協会の役割は、皆様に安心してオゾンを使っていただいて、より安全で快適な生活環境を実現できるようにお手伝いすることです。 これにはオゾン導入に対する不安や課題をなくしていくことが大切です。 例えばこれまで オゾンを利用した高度浄水処理では臭素酸の生成を心配する向きがありました。 このため協会として国内外の事例を調査研究し、臭素酸の低減策として pHと注入率の制御が有効であることを報告しました。また、 オゾン導入に際しては、オゾンと接触する金属部分には耐蝕性の高い高価なステンレスを使う必要がありましたが、これに代わる高強度で低価格なステンレスの使用を提言して、現在耐食性試験を進めています。生活の身近なところでは、最近、部屋の脱臭などに使用する小型のオゾン発生装置が多数販売されているため、消費者に安心して使っていただけるように一定水準以上の品質を有する装置を協会が認定することとしました。

このほかにも、 オゾンに関する調査研究を発表する講演会や、講習会・見学会を開催して技術の向上に努めています。

オゾンは大きなパワーを持っています。世の中の人々がオゾンのパワーを存分に享受してより安全で快適な暮らしを送れるようになることを願っています。協会の構成員である学識経験者、メーカー、ユーザーの力の結集を期待します。